[648]桃栗3年

「桃栗3年柿8年」とは、種をまいてから実がなるまでの期間を待ち遠しく思う言葉です。ですが園芸店やホームセンターで売られている苗木は接木苗なので、今はこれほど待たなくても果実を楽しむことができます。

種を蒔いて育てる実生苗は交配が行われた結果ですので、食べたものと同じ物が成るとは限りません。どんな実がなるか楽しみではありますがハズレということもあります。一方、接木苗は言ってみればクローンですから、必ず同じ実がなり、接木することで果樹を大量生産することもできます。

接木の台となる「台木」はその科によって違いますが、バラ科のものは同じバラ科の野生種に近いものに接ぐことが多いようです。野生に近いほど丈夫だからです。

「桃栗3年柿8年」ということばには、その後に続く言葉があります。これは地方によって様々ですが、統計的に「ナシ」と「ゆず」が出てくるようです。

「ゆずは9年で成り下がり、ナシの馬鹿めは18年」

これは、原田知世主演映画「時をかける少女」にでてくるセリフですが、ゆずやナシも今は接木で増やしますのでこれほど時間はかかりません。しかし、ゆずは本当に成長が遅く、私の住む地域では「ゆずのばかやろ30年」とまで言われてしまうほどです。

果樹は実がなるのが楽しみですが、種類によっては大きくなり、また手入れも要ることや樹形が乱れるなど庭にはふさわしくないものも多くあります。果樹を植える時は、衝動にとらわれず、10年20年後を想定して決めましょう。もちろん庭の広さとも相談しなくてはいけません。

【桃栗柿の概要】

桃(バラ科の落葉高木・花期3月・結実期6-7月)植え付け適期は1-2月。日当たりが良く水はけの良い場所を好む。実がついたら充実したものを残して間引きし、残した果実には紙袋をかぶせて害虫、鳥から守る。

栗(ブナ科の落葉高木・花期5-6月・結実期9-10月植付け適期は11月下旬から2月まで。自家受粉では結実しないので数品種を付近に植え付けるとよく実をつける。

柿(カキ科の落葉高木・花期5月・結実期9-11月)植え付け適期は11月下旬から翌年3月まで。果実をつけすぎると果実の質が落ち、また翌年にひびくので適当に間引きする。食べるには甘柿が良いように思えるが、じつは渋柿の方が用途は広い。

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