[631]脳卒中

一口に脳卒中といってもこれは脳血管障害の総称で、具体的には、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血の3つに分けられます。

脳出血は脳溢血ともいわれ脳内に出血するものです。脳梗塞は脳軟化ともいわれ、脳内の血管が詰まって血流に異常があることをいいます。くも膜下出血は脳内のくも膜下部に出血をみるものです。

脳出血は、脳内の血管が破けてそこから脳内に出血することをいいます。脳内の血管は元々弾力性があまり無いのでちょっとしたことで破れやすく、そこにきて血圧が高い場合は元々破れやすい上に血流の圧が高いのですからますます脳出血の危険があるというわけです。したがって高血圧の人は脳出血には十分気をつけなければなりません。

脳出血は血管が脆くなってくる50歳以上の男に多い病気です。糖尿病や通風などの患者に出やすいとされます。また、肥満体格で首が短く太く、胸部が厚く顔面がいつも赤い人は、これを卒中体質といいますので、該当する場合は十分注意してください。

脳出血は、運動している最中や、過度の飲酒中、精神的興奮状態のときに起こりやすいとされています。したがっていつも精神を豊かにおおらかにしていることが大事です。この世知辛い世の中において難しい注文ですけど。

脳出血の前兆はあまり無いようですが、全く無いわけでなく、めまい、頭痛、耳鳴り、不眠、言語渋滞などがあるようでしたら、気をつけたほうがいいでしょう。これは軽い発作として捕らえなければなりません。

脳内に出血を起こした時の状態は、意識消失、深い昏睡、嘔吐、顔面充血などの症状が現れますので、すぐにわかります。声をかけたり皮膚をつねったりして意識の状態を確かめますが、意識を確かめるために身体をゆすってはいけません。出血している場合に病状を悪化させることがあるからです。

以前は絶対安静とされ、病人を動かしてはいけないといわれていましたが、トイレや風呂場など狭い場所や、危険な道路などで倒れた場合は、安全な場所に運んだほうがいいとされています。運ぶ際には、頭と首の下を手で支え、慎重に動かします。

呼吸を楽にするために、衣服や帯、ネクタイ、ペルトなどを緩めてあおむけに寝かせ、タオルを肩の下に当てたり喉を反らせたりして気道を確保します。嘔吐が見られる場合には、吐いたもので気管に詰まらせないよう、顔を横向きにして寝かせるようにします。

次号【脳梗塞】へつづく

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