[624]一卵性双生児

2023年2月8日

不妊の治療として排卵を誘発するものがありますが、この誘発剤を使った場合は卵子が多く排出され、その結果二卵生双生児など多卵性の双生児となる場合が多いです。多卵性の双生児は卵子がそれぞれ別なので、似ている場合もありますが似ていない場合もあります。

一卵性双生児は、もともと一つの卵子が分裂して二つになり、それがそれぞれ育つものです。したがって似ているなんてもんじゃなく、瓜二つとなります。一卵性双生児は遺伝子的には全く同じだからです。基本的にはクローンと同じです。

一卵性双生児は全く同じDNAを持っているので、環境情報の影響が無ければ同じ考え同じ性格、あるいは同じ病気になったりします。しかし現代社会で同じ生活をするというのは不可能なので、環境情報が二人を異質なものにしていきます。

臓器移植はどうか?一卵性双生児の場合、臓器移植は全く拒絶反応がありません。したがって臓器移植は全く問題なく成功します。しかし現実にはあまり行ないません。なぜなら一卵性双生児の場合は同じ病気になりやすいからです。臓器移植を欲するような病気は二人ともかかりやすいということです。

なぜ受精卵が分裂したあとに、それぞれの個体として育っていくのかはよくわかっていませんが、受精後10日以内に卵子が分裂するとそれぞれが別々の胎盤を持つとされています。これは全く問題ありません。

受精してから10日以降に分裂が起こると1つの胎盤で二つの胎児をまかなうようになります。この場合は「鏡像」という現象が起こり、双子のうちの一人は左利きで、もう一方は右利き、一人はつむじが左巻きでもう一人は右巻きといった具合です。

分裂が受精後13日以降に起こると体の一部が連結したいわゆるシャム双生児が生まれるとされます。これは大変なことで、分離手術をする必要があります。なお、分裂が遅れる理由はダイオキシンとされる説が有力です。

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