[558]中華民国

2013年5月10日

田中真紀子外相の発言に台湾から抗議がきたようですね。香港が中国へ帰ったように台湾も中国に帰れというような意味合いの発言に対する抗議です。ま、抗議自体は別に構いません。一国の外相の発言に対する抗議は世界的に見ればよくあることですし、それを怖れていては何もできませんから。

この記事で私が「おや?」と思ったのは、抗議をした台湾の声明文の国名が「台湾」ではなく「中華民国」となっていたことです。30年位前は中国は「中華人民共和国」と「中華民国」があり、台湾は「中華民国」といわれてきました。地図にも台湾ではなく「中華民国」となっていました。それがいつしか、台湾と表示されるようになりました。しかし、今回の表明で台湾の人々はやはり自国は「中華民国」ということに執着していることを知ったのです。

もともと第二次世界大戦が始まる前の1937年、中国は一つであり名前も「中華民国」でした。しかし国内では国民党と中国共産党が対立しており仲は悪かったのですが、とりあえず戦争が始まってしまったので一緒に戦った。戦争が終わるとまた内戦を始め、蒋介石率いる国民党は中国から追い出され、しかたなく台湾で独立を宣言したというわけです。これが中華民国。

一方中国共産党は広い大陸を支配し、こちらは1949年に中華人民共和国として独立し、ここに二つの中国が存在するようになったというわけです。しかし中華人民共和国はいまでも台湾を国としては認めておらず、台湾省であると主張しています。

ちなみに台湾の首都は世間では台北というのが通説ですが、台湾国内の地図では首都は南京となっているそうです。

というわけで、いまでも仲の悪い台湾と中国なのです。