[520]炭そ病

2013年5月24日

炭そ病はもともとは牛、羊などがかかる家畜の病気です。ただし、人にも感染することがわかっており、感染した家畜を食べることは極めて危険です。炭そ病にかかった家畜は急性の激烈敗血症となり、血を吐いて死亡します。死体が黒くなることから炭疽(そ)病と言う名前がつきました。

炭そ病は炭そ菌という細菌によって引き起こされます。発見したのはコッホ。コッホは弱い菌を注射する事で抵抗力をつけるワクチンを発見したことでも有名な人で、炭そ菌のほかにも結核菌やコレラ菌を見つけています。

炭そ菌はその症状が劇症であることから、古くより生物兵器に利用されていました。かのオウム真理教も以前生物兵器の研究を行っており、ボツリヌス菌や炭そ菌をばら撒いたりしている事実があります。(幸いテロとして成功はしなかったようです)

生物兵器についてはBWC(Biological Weapons Convention)禁止条約があります。ですが1972年に調印されたこの生物兵器禁止条約(143カ国加盟)は、違反行為を調査したり監視する検証規定が欠けているため、事実上生物兵器の開発は各国秘密でされているのが現状。例えばアメリカも生物兵器からの防衛を言う名目で、じつは新型菌の開発をしているといいます。

生物兵器は爆発もなく誰も気がつかないうちに蔓延するという、いってみれば核兵器より怖い兵器です。フロリダの事件で炭そ病患者がみつかり、これと同時多発テロリストとの関連は定かではありませんが、関連がないとは言い切れないところに今回の事件の怖さを感じます。

テロリストは常識では考えられないことを行動起こすものです。生物兵器が使われないという確証は無いし、核兵器もしかりです。テロリストに法律や常識は通用しません。そういうテロから自分を守るのは自分自身。しかし我々一般人としては、状況を見守るしかない。せいぜい人の集まるところには極力出かけないようにするくらいですか。テロは人の集まるところで行なわれますから。