[1298]憲法96条

2013年6月9日

安倍首相が意欲を示している憲法96条の変更。

憲法96条は、憲法を改正するときに必要な議席数を示した条文です。

[第九十六条]
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

安倍首相の思惑は9条改憲に先立ってこれを2/3以上から1/2(過半数)にしようとするもの。当然、憲法の改正はしやすくなります。

しかしこの件については野党のみならず、与党のなかにも慎重論があります。憲法は国民が権力を見張るためのものです。この点が普通の法律とは異なる点。やたら変えるものではないのです。

権力とは政府です。安倍首相も権力側の人間です。権力側の人間が憲法を変えやすくする、と言っているのですから、これは油断のならないことです。普通ならば。

しかし、安倍首相の心中を察するならば、ぜひとも96条を変更し過半数に持ち込みたいでしょう。今の議会制度では2/3以上の賛成というのは難しい。そしてその後の国民投票。今の制度では改憲は不可能です。

国家は国民の生活と財産を守る義務があります。そして昨今国際情勢はきな臭いです。いつ戦争が起こってもおかしくない状況。それくらい逼迫しているということです。

こんな状況でもし北朝鮮が核ミサイルを撃ち込んできたらどうします?日本は憲法9条があるためそうなったとしても戦争ができません。おそらく100万人も死者が出れば、平和ボケした日本国民も高揚し、96条で規定した2/3の賛成を勝ち取り、瞬く間に9条変更ということになると思います。

しかし、そんな死者がでてからでは遅いのです。その前に、96条を変更し9条も変更しておく。これが抑止力になると考えているのではないでしょうか。

ところが日本の世論はまだそこまで熟成していないようです。風当たりが強いため安倍首相も夏の参院選に向けてのアピールだった96条変更の政権公約明記をとりあえず見送るとことです。

《ポイント》

普通の法律は立法府つまり国家権力が作り国民はこれを遵守するもの。
憲法は国民が権力者に対して作り、権力者はこれを遵守するもの。
その憲法を権力者が変え易くすることは、どうなのよ?という議論です。