[932]勝者の冠

2013年5月18日

英知と栄光のシンボルとして、勝者の冠に使われてきたのが月桂樹。月桂樹はハーブとしても人気が高く、特にとくにフランス料理のブーケガルニとして煮込み料理では欠かせない存在でもあります。月桂樹はベイリーブス、ローリエとも呼ばれるクスノキ科の香草で、葉の部分を料理に使います。

さて、なぜ月桂樹が勝者のシンボルなのかというと、これはギリシャ神話に起源があるのです。

太陽神アポロンは全能の神であるゼウスの息子。女神アルテミスとは双子の双子の兄妹です。アポロンは万能で若さの象徴として崇められた神です。そのアポロンが見初めたのが妖精のダフネ。しかしダフネはアポロンよりもアルテミスに思いを寄せていました。

アポロンはダフネを追いかけますが、ダフネは逃げ回ります。しかし競技の神でもあるアポロンから逃れるのは容易ではありません。困ったダフネは父親に月桂樹の姿に変えることを懇願し、父親は泣く泣くダフネを月桂樹に変えてしまいました。

嘆くアポロンはダフネへの愛の記念に、以来月桂樹の葉で冠を作ることを誓ったのです。美術品に見るアポロンはたいてい月桂樹の冠を被っていますが、これは彼の失恋の証。全能に近い能力があっても、人の心だけは自由にはならないという戒めの意味もありそうです。

さて、まもなくトリノオリンピックが開催されます。勝者の冠は誰の頭上に!?