[938]イスラム教

2013年5月18日

イスラム教のムハンマドを風刺したとしてヨーロッパを中心に騒ぎが大きくなっています。たかが風刺くらいで、と片付けられないのが宗教問題。無宗教の日本人には理解し得ない事情があるようです。

まずイスラム教という宗教を理解する必要があります。仏教の場合は簡単に要約すれば、仏像を拝み、お経を唱えるだけで救われる、とする宗教(が多い)です。信じる者は救われる的なもので精神論を主体とします。

イスラム教はこの考え方と大幅に違う宗教です。イスラム教では神様は一人でありこの神様を「アッラー」といいます。そもそもイスラムとはこの「アッラーのいうことはすべて聞きます」という意味です。

またイスラムでは仏教の仏像のように偶像を崇拝しません。神は一人であり絶対的なもの。その神を勝手に偶像化し、崇拝してはいけないというのもイスラムの大事な教えなのです。

アッラーの神の教えを説いたのが、ムハンマドという人物です。この人は修行中にアッラーの神の教えを聞き、それをコーランという書物にまとめました。イスラムの教えはこのコーランを読み、その中に書かれていることを忠実に行なうというのが大きな特徴です。

内容は具体的です。仏教が信じるだけでいいというのとは対照的にコーランは一つ一つ毎日の行動が記されています。何も考えずに、ひたすらコーランを実行するというのが大きな特徴です。

コーランには色々なことが書かれています。まずお祈りが1日5回。ムハンマドの生地であるメッカの方向を向いてお祈りします。女性はやたら肌を見せてはいけません。髪や顔をベールで覆います。お酒も禁止。豚肉は不浄なため食べてはいけません。またラマダンといって、1年に1ヶ月の断食をします。といっても断食をするのは日の出から日の入りまでの間だけで1ヶ月間何も食べないということではありません。イスラムでは貧しい人を思いやるという思想が根底にあり、その貧しさを理解するという意味で断食をします。

今回の暴動は、偶像化してはいけないムハンマドを風刺画として描いたことがまずイスラムの教えに背くため、騒ぎが起こりました。そしてその神聖なムハンマドをテロリストのように風刺したというのも逆鱗に値するものです。誰しも尊敬する人を侮辱されたら怒りますが、偶像崇拝をしないイスラム教の場合は更に深刻な事態となってしまったのです。