[942]カンフル剤

2019年8月9日

「景気回復にカンフル剤を打つ?」など、ダメになりかけた物事を復活させるために使用される手段を比喩的に「カンフル剤」と呼んでいます。これはその昔、カンフルを強心剤としても使用されていたことがあったため、そのような使い方をするわけです。現在では強心剤として「カンフル」を使用することはありません。

そもそも、カンフルとは樟脳(しょうのう)のことです。別名カンファーともいいます。樟脳はクスノキから採れる精油成分で、融点180℃、沸点208℃の白色半透明の昇華性結晶です。昔はナフタリンと共にタンスや引出しに入れて虫除けとして使ったものです。また樟脳を水と反応するため、薄い3cmほどのセルロイドの船の船尾に樟脳を付け、水に浮かべると走り出すそんなおもちゃもありました。夜店でよく売っていました。

今でも樟脳は血行促進作用や鎮痛作用、消炎作用などがあるために局所刺激薬、局所消炎、鎮痒薬として外用医薬品として使用されています。スーっとするL?メントールと共に配合されてマッサージクリームなどに使われています。また肌荒れ防止の薬効もあるのでハンドクリームやリップクリームなどにも使用されています。

痒み止めとしての効果もあるのですが作用が強いので人間用ではなく、犬猫などの動物用シャンプーに使われています。また強い香りは香料の成分として使用されています。

樟脳は飲み込んだ場合には有毒ですので気をつける必要があります。誤って飲み込むと精神錯乱、神経と筋肉の障害の原因になるとのこと。万一飲み込んだ場合は必ず医師にかかりましょう。