[944]サメの肉

2013年5月18日

サメのヒレはフカヒレとして珍重されますが、肉のほうはあまり人気がありません。エイヒレも同じです。あぶって食べるのはヒレだけでこちらもあまり肉は食べません。はんぺんやかまぼこの材料にはなるようですが。

これは理由は簡単。あまり美味しくないからです。

サメやエイは魚としては古代魚に近く、その体の仕組みが美味しいマグロやアジなどと異なります。近代魚は海水で生命を維持するために、塩分の調節を鰓や腎臓で行なうようになっています。(淡水魚と海水魚の項を参照)

しかし古代魚、シーラカンスやサメ、エイの類の魚は、体液に尿素を含むことで海水の浸透圧から身を守っているのです。血液や体液に尿素が満遍なくめぐっているので、その肉や血液はアンモニア臭いのです。したがってあまり食卓には上がらないのです。しかも、この尿素はアンモニア臭だけでなく、死ぬと分解されてトリメチルアミンとなり、これが腐敗臭を発します。したがって流通にも乗りにくいのです。

ちなみに、ホヤ。これも新鮮なうちに食べたとしても若干アンモニア臭さがあります。これも腎臓をもたないホヤの浸透圧対策なのです。古代魚から進化した近代魚は腎臓を持ち、体に不要な成分を振り分けて排出する機能を持ちました。これは後に陸に上がるための予行演習だったのです。