[950]ケーブルカーとロープウェイ

標高差のある場所への移動に便利なのがケーブルカーとロープウェイです。ロープウェイは架線にワイヤーロープを使い、線路はありません。ケーブルカーは線路があり、車両にケーブルを接続し、線路を伝って車両をケーブルで引き上げる鉄道をいいます。

ケーブルカーの車両は急勾配でも大丈夫な様に横から見ると平行四辺形の形をしています。車両だけでなく車内も階段状になっており、乗り降りするプラットホームもまた階段状になっています。

運行方式は、2台の車両をケーブルの端に連結しつるべ式に運行する「交走式」と、自転車のチェーンの様に循環するケーブルに複数両の車両を連結して運行する「循環式」とがあります。日本ではつるべ式が多いですが、有名なサンフランシスコのケーブルカーは循環式です。

ロープウェイには車輪はありませんがケーブルカーは鉄道ですから車輪があります。 ケーブルカーの車輪は、片側の車輪には溝があり、レールを挟み込むようになっており、もう一方の車輪はただ単にレールの上に乗っているだけです。片側の車輪が一方の線路を挟み込んでいるため、車両が交差する箇所では同じ側へ進んで行き、車両どうしが衝突しないようになっているというわけです。

ケーブルカーのいいところは静かなこと。車両自ら走行するのではなく、山上からケーブルで車両を引っ張り上げるため、動力用モーターが積んでいないからです。ただし全く動力がないのかというと、そうではなく、前照灯・車内灯・自動ドアの開閉などに電気を必要とするため架線があります。架線がないケーブルカーの場合は車内にバッテリーを積んでいます。

欠点は、自らの動力を積んでいない為、緊急時に移動できないという点です。2000年11月のオーストリアのケーブルカーの火災はトンネル内ということもありましたが、逃げることができず155人にも及ぶ犠牲者が出たのは記憶に新しいところです。

空中を移動するロープウェイに比べ、ケーブルカーは地に足がついている分は安全性に対して油断していた結果といえるかもしれません。