[972]印籠(いんろう)

2013年5月18日

水戸の偕楽園といえば梅で有名です。春は梅祭り、今頃はその梅が実って立派な青梅が売られています。暑い夏にいただく梅酒は暑気払いに最適。今年は梅酒に挑戦してみてはいかがでしょう。仕込むには今しかありませんよ。

さて水戸といえばその梅と納豆、そして水戸黄門(水戸光圀)でしょう。水戸光圀公はさきの副将軍としてテレビの時代劇に登場していますが、実際に黄門様が諸国漫遊したかどうかは定かでありません。

水戸光圀公が事件を解決する「水戸黄門漫遊記」は最後には権力の象徴である葵のご紋の「印籠」が決め手になります。権力の象徴が決め手となるところがなんとも日本らしいところですが、権力=正義と定義しているところも見逃すわけにはいきませんね。日本人は権力を認めるがそれは正義であってほしいと願っている国民なのです。

さて、決め手の印籠ですが、元々は印籠というくらいですから「印」と「朱肉」を入れるものです。桃山時代までは本来の使われ方をしていたようですが江戸時代になると「印」の代わりに携帯用の薬を入れるようになりました。薬を携行するのは薬籠といって別に存在したのですが、いつしか一緒になってしまったようです。

印籠は木でできており、漆を塗って作られますが次第に豪華絢爛になってきました。印籠は当時、流行の最先端をいくアイテムだったようです。

水戸黄門を親子で見ていて子供に印籠の中身を尋ねられたらなんと答えましょう。「あの中にはね、権力が詰まっているんだよ」と教えてあげますか。