[1002]皮と革

「革のかばん」、「革ベルト」、「革の財布」などの「かわ」は「革」の字を使います。一方で、焼き鳥などの「鶏皮」などは「皮」の字を使います。英語でも「皮」は「スキン」もしくは「ハイド」、「革」はレザーという具合に使い分けています。同じ「かわ」ですが、これは意味が違うのですね。

一般的に「皮」とは動物の体を覆っているのが「皮」です。動物の皮を剥いでなにも加工していないのを「生皮」といいます。動物から剥いだままの「皮」はそのままだと腐ります。また乾燥させておくと腐りはしないものの硬くなって使い物になりません。

生皮をいつまでも腐らないよう、しかもしなやかさを失わないように「皮」に加工を施します。この加工を「なめし」といいます。そして、生皮をなめしたものを「革」と呼ぶのです。なめしてないものが「皮」、なめしたものが『革』と憶えるといいでしょう。

「なめし」とは?

なめしは従来よりタンニンが使われます。タンニンとは植物からとった「渋」です。皮をなめす工程では、まず腐敗しやすい動物の脂やたんぱく質を除き、コラーゲン繊維を残します。

下地処理をされた皮はなめし剤の槽に漬けられ、皮の余分な水分を除去され、そして皮の肉面を削り、一定の厚さに仕上げられます。このなめし工程は30工程もあり、職人の技と手間のかかる仕事なのです。それらの工程を経て、極上の「革」となるのです。

今では手間のかかるタンニンなめしではなく、化学薬品で処理されることが多くなってきましたが、やはり品質的には昔ながらのタンニンなめしにはかなわないようです。

タンニンなめしの特徴として、型崩れしにくく丈夫で耐久性があり、加工する際に染色し易い、吸湿性に富む、使い込む程艶や馴染みがでる、などの特徴があります。高級皮革製品で「飴色になる」のはこのタンニンなめしならではの風合いなのです。

さて、手間暇かけて作られた「革」ですが、これが化けると「靴」になります。
靴は身に着けるものの中で、もっとも酷使される道具です。丈夫でなければなりませんし、歩きやすいためには柔軟性が求められます。その点、「革」は最も靴に適した素材であるといわれています。