[1022]ノロウイルス

ノロウイルスによる感染症が世間を騒がせています。鳥インフルエンザやSARSなど、ウイルスによる感染症は侮れません。そもそも人類に寿命があることや性別があることは、ウイルスとの何億年もの戦いから勝ち取ってきたもの。そして今尚ウイルスとの熾烈な戦いは続いているのです。

このノロウイルスの感染症ですが、実は毎年この時期になると、風邪や胃腸炎の症状としてごく当たり前に流行るものであって、なにも今年に限ったものではありません。ただ、発症が施設で多数に感染症患者が現れると、食中毒として保健所が介入し、保健所は原因を突き止める義務があるので、その原因となるノロウイルスが注目されることとなります。

これが施設ではなく、一般的な経路で感染した場合は、下痢、吐き気などの症状があるため病院で診察を受けますが、病院では原因を特定することはしないので、胃腸炎とか風邪として片付けられてしまいます。実際には3日も寝ていれば直ってしまうので、それほど深刻になる必要はありません。それでも、乳幼児や高齢者の場合は命取りになる場合もあるので、知識としては知っておく必要はあるでしょう。

ノロウイルス感染症の潜伏期間は24~48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。通常は症状が1~2日続いた後、自然と治癒します。また感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。ノロウイルスは小さいウイルスで、少量でも体内に入ると発症する確率の高いウイルスです。したがって、付着している食品を食べれば、軽微はあっても発症します。

ウイルスの増殖は食品に付いているときは増えず、人間の腸内で増殖します。そして吐寫物や糞便を介して経口感染します。経口感染の場合はその前に手に付着していることが多いので、よく手洗いをすることでかなり感染は防ぐことができます。

ノロウイルスを殺菌するには食品の加熱が一番です。特にこの時期「牡蠣」がおいしいのですが、牡蠣はノロウイルスを持っていることが多く、しかもその生息場所が中腸線という場所なので、入念に水洗いしても効果はありません。

食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされていますので、牡蠣鍋をするときはよく煮て食べれば大丈夫です。生牡蠣は止めておいたほうがいいでしょう。

また、手洗いを励行して物理的に減菌数するのは効果的ですがエタノールや逆性石鹸はあまり効果がなく、効果のあるのは次亜塩素酸ナトリウムの溶液による殺菌です。

調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm=5000倍溶液)で浸すように拭くことでウイルスを滅菌できます。熱湯消毒、煮沸消毒ももちろん効果があります。

ノロウイルス感染症自体はそれほど怖くはありませんが、毎年これに続くのがインフルエンザですので、前座ともいえるノロウイルスによる体力の消耗を考えると予防しておくに越したことはありません。

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