[1027]海藻と海草

海に生育する「かいそう」を漢字変換すると「海藻」と「海草」が出てきます。これらはどちらも正しいのであり、「海藻」と「海草」は厳密に言えばそれぞれ別の物を指しています。

普段食べている、海苔、昆布、ワカメ、ヒジキは「海藻」です。「海藻」は日本人には非常になじみ深く、世界でも日本人ほど多くの種類の「海藻」を食用としている民族は少ないようです。最近では海藻に含まれるフコイダンなどにに抗酸化機能が発見され注目を浴びている海藻パワー。海のミネラルをたっぷり含んだ海藻は古来より日本人の健康に役立っていたのですね。

現在、日本に産する海藻は約1400種類知られています。「海藻」は一般的に根・茎・葉のような形態はあるものの、それらが機能的には分化しているわけではありません。陸上の植物とも違うくくりの生物となっています。

海藻とは海中に生息する「藻」であり、花は咲かず、胞子によって子孫を増やします。海藻は波あたりの強い、岩礁海岸に多く生育しますが、その波に負けないため、根は岩に固着するためのものとなっています。地上の植物のように根から養分を吸収することはありません。したがって海藻の大部分は岩に生え、砂泥底にはほとんど生えません。

海藻は、赤いもの、緑色をしたもの、褐色のものと色鮮やかですがそれは太陽の光が届く量に左右されます。浅瀬に生息するものは地上の植物と同様に緑色になり、深くなるにつれ褐色そして紅色と変化します。

一方「海草」は陸上の植物と同じ仲間で、根・茎・葉があり、それらがそれぞれの機能を持ち、海の中で生息するにもかかわらず、花を咲かせ種を持つという性質があります。海草は日本国内で16種類が知られています。

日本の海域の沿岸部ではこの「海藻」と「海草」が共に密に生育して「藻場」を形成しています。「藻場」は水産上大変重要であり、魚介類の産卵・発育の場、そして水質浄化の担い手として重要な機能を果たしています。近年、日本沿岸では環境破壊が問題になり、様々な原因によってこの「藻場」が消滅・減少し大変なことになっているのです。

ところで、フコイダンをはじめ健康に良いとされる海藻ですが、これは人間だけでなく家畜の飼料や、農作物の栄養源としても注目されています。化学肥料を使った大量生産農業のせいで疲弊してしまった土壌の活力回復に海藻パワーが見直されています。農家にとって安全で健康な作物は必須です。しかも海藻を使うことで収穫も増えるようになり、それは増収につながります。近代農業にとって、海藻は欠かせないものとなっているのです。

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