[1031]ヒジキ

「ひじき」「ヒジキ」は褐藻類ホンダワラ科ヒジキ属の海藻です。波の荒い海岸近くの岩場の低潮線付近に繁茂します。春から初夏に特長のある袋(胞子嚢)を付けて成熟します。粘りの成分が有るため古くは食用以外にも、紙と紙を貼り合わせる糊としても使われました。

褐藻類といわれるくらいですから自然の状態では褐色をしています。これが加工されるにつれ黒くなります。通常は干ひじきとして売られており、水で戻してから醤油、砂糖などで料理します。

ヒジキには春物と冬物があり、冬物が柔らかくておいしいのですが採取しているところも少なく、したがって量も少ないため高価です。見分け方は、春物は胞子嚢があるため、葉が膨らんだようになっています。よくみるおなじみの形で米ヒジキともいいます。

冬物は胞子嚢が無いため茎の細い部分のみとなっています。膨らんだ部分が無いのでそれとわかります。岩場から生えた新芽を摘んだ冬物は最高のものとされています。

繊維質を多く含み、健康に欠かせない必須ミネラルもたくさん含んでいるヒジキですが、最近イギリスで「ヒジキに含まれる無機ヒ素に発がん性がある」と報道され問題になっています。それに対してヒジキを常食する日本では、厚生労働省の見解として、微量なため「とりあえず心配はない」としています。

そもそも「ヒ素」は自然界に存在する物質であり、他の海藻中にも含まれているものです。しかしそのヒ素は毒性の低い有機ヒ素として存在しています。今回の報道はヒジキに含まれる「無機ヒ素」が問題とされているので、ヒ素中毒の健康被害が起きたとの報告はないものの、今後の研究が待たれるところです。

いずれにしても、なんでもそうですが、健康に良いとヒジキばかりを極端に多く摂取するのではなく、バランスのよい食生活を心がけることが大切だということではないでしょうか。

※低潮線潮せき(汐)により海水面が最も低くなったときの陸地と海水面との境界のこと。

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