[1044]白虎隊

玄武([1034]素人と玄人)、青龍([1040]青春とは青い春)に続いて、今日は方位を司る神獣のうち、西に位置する白虎(びゃっこ)の話です。

白虎といえばすぐに頭に浮かぶのが戊辰(ぼしん)戦争の白虎隊。江戸時代から明治に変わろうとする激動の時期に、旧幕府の勢力として新政府と戦った会津藩の少年を集めた軍隊が白虎隊です。

敗戦色濃い会津藩の戦力として戦ううちに、はぐれた20人が若松城を焼け落ちたと誤認し、飯盛山で自刃し19人が命を落とした話は有名です。かろうじて生き残った飯沼貞吉が晩年その重い口を開き、その事実が判明したという白虎隊の悲話です。ちなみに戊辰とは(つちのえのたつ=1868)の年に起こったから戊辰戦争。

ところで、会津藩には白虎隊だけではなく、他の神獣を模した隊もありました。
50歳以上の武家の男子によって構成された予備隊の部隊である玄武隊(げんぶたい)。18歳から35歳までの武家の男子によって構成された事実上の実戦部隊である朱雀(すざく)隊。36歳から49歳までの武家の男子によって構成された国境守備隊である青龍(せいりゅう)隊。いずれも中国の伝説の神獣からつけられています。このほかにも14、15歳で構成された幼少隊があります。

白虎の白という字は、西の色を表します。西は季節では秋を現し、北原白秋の白秋の字は秋色を表すのです。なんとなく黄色いイメージがありますが、秋は白色なのです。

白虎は方位は西ではありますが、南に向いた本陣から見て右手という意味もあります。東京に虎ノ門という大使館などがたくさんある場所がありますが、この虎ノ門は江戸城(今の皇居)からみて、右手を守る門であったため虎ノ門という名が残っています。必ずしも西を向いていなくても虎の方位であることがあるのですね。

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