[1049]元大臣の妻の借金

小杉元文相の妻が20億円の負債を背負ったまま自己破産したとのこと。債権者は今のところ231人いるようです。その総額は20億円。これに対し妻の資産は現金や生命保険解約金など計約2100万円とのこと。(2007年3月20日0時52分 読売新聞)

ワイドショーなどにもその債権者が登場し、怒りをあらわにしている光景が映っていました。また小杉元文相も、妻個人の問題と割り切っており、これまた世間の怒りを買っているようです。

この問題、結論から申し上げれば、小杉元文相は妻が負った借金を返す必要はありません。また、妻個人の問題である、という認識も正しいもので、それを理由に議員を辞める必要はありません。

それでは、債権者の怒りはどうなる?

債権者と債務者の関係ですが、これは民事上当事者同士の問題になります。金の貸し借りは、当然当事者同士の話し合いで行われており、その時点で対等です。債務者は借金を返す義務がありますが、債権者としてはその義務が履行されないことも想定しなければなりません。そのリスクを承知で金を貸したはずだからです。

自己破産という方法は法律で認められた行為ですから、債務者が自己破産をしたら、債権者は文句を言わず、破産管財人が行う破産手続きを承知する必要があります。

怒りをあらわにする事は感情論としては当然ですが、借り手の財務状況を調べないで貸したほうも落ち度があるといわざるを得ません。貸金業大手の銀行だってこの与信にすべてを賭けるわけですから。

ただし、小杉元文相等の著名人が間に入るなどして借金を取り持った場合は、その小杉元文相の社会的責任は問われると思います。その場合は社会的制裁を受けるでしょう。金銭的な制裁は残念ながら不可能と思います。

小杉元文相が個人的に妻の借金の連帯保証人になっていた場合は話は別です。妻の破産が確定してしまっても保証人の債務は残りますので、今度は保証人への督促が集中することでしょう。保証人は怖いです。なるべくなら保証人にはなりたくないものです。

日本の風潮からすると、夫婦同罪のようにとられがちはこういった事件も冷静になって、考察する必要があります。この場合、小杉元文相が世論を相手に生き残るには、自分は知らなかったこと、妻にだまされた、これを理由に離婚する、などのと開き直りが必要です。

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