[1051]寒冷前線と温暖前線

気象の話です。よく言われる前線。これは気象における空気の性質の変わり目、気圧の変わり目をいいます。前線は4つあります。

●寒冷前線

冷たい空気と暖かい空気がぶつかってできる前線です。冷たい空気のほうが勢いが強く、暖かい空気の下に潜り込んで押し上げながら進みます。冷たい空気は重く、暖かい空気は軽いからです。

暖かい空気が急激に押し上げられますので、積乱雲(入道雲)が発達し、それが上空で冷やされ激しいにわか雨や雹が降ります。しかし積乱雲は幅がないので、一通り雨が降ると止んでしまいます。いわゆるにわか雨が特徴です。寒冷前線が通過すると、風向きが変わり気温が下がります。

天気図で三角形の記号のついた線が寒冷前線です。

●温暖前線

冷たい空気と暖かい空気がぶつかってできる前線ですが、暖かい空気の勢いが強く、冷たい空気を押しながらその上をゆっくり乗り上げて進むのが温暖前線です。

暖かい空気が冷たい空気にゆっくり冷やされるので、層状の乱層雲が広い範囲にでき、小雨が長い時間ぱらつきます。温暖前線が通過すると、風向きが変わり、気温が上がります。

天気図で半円形の記号のついた線が温暖前線です。

●停滞前線

冷たい空気と暖かい空気の勢いが同等で、どちらも譲らず同じ位置に停滞するのが停滞前線です。日本でいわれる6月頃の梅雨前線、9月頃の秋雨前線がこの停滞前線で長雨が続きます。

天気図で三角形の記号と半円形の記号が反対向きについた線が停滞前線です。

●閉そく前線

普通、温暖前線の後ろには寒冷前線が存在し、寒冷前線が温暖前線を追いかけるように移動しています。しかし寒冷前線のほうが速度が速く、前にいる温暖前線に追いついてしまうことがあります。この前線は寒冷前線の冷たい空気と温暖前線の冷たい空気の両方で閉じた形(閉そく)になるので、閉そく前線といいます。

後方の冷たい空気が前方の冷たい空気より暖かい場合、後方の冷たい空気は前方の冷たい空気の上に乗り上げて、温暖型閉そく前線を作ります。

逆に、後方の冷たい空気が前方の冷たい空気より冷たい場合、後方の冷たい空気は、前方の冷たい空気の下にもぐり込み、寒冷型閉そく前線を作ります。

天気図で三角形の記号と半円形の記号が同じ向きについた線が閉そく前線です。

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