[1110]モンゴルと日本の大相撲

2023年2月8日

朝青龍が巡業を休場したのにその間故郷のモンゴルでサッカーに興じていたとして相撲界では大きな事件となりました。また顛末は付いていませんが、昨日の段階では朝青龍はモンゴルに帰国、療養するとのこと。付き添いの高砂親方は現地で朝青龍と一緒になれず、早々に帰国したというのが現況です。傍観者としては今後を見守るしかないというところです。

よくわからない事件ですが、いえることは朝青龍が注目されているということ。朝青龍はモンゴル出身で、モンゴルでは英雄であるということ。そしてモンゴルは朝青龍を国を挙げて守っているということです。

相撲は日本の国技とされていますが(法律で国技と決められているわけではありません)、近年活躍するのは外国人力士。ちょっと前までは琴欧州(ブルガリア出身)が大人気でCMにも出演していましたが、協会からクレームでも入ったのでしょうか、最近はおとなしい。

モンゴルはモンゴル相撲が盛んなこともあり、相撲で立身するジャパニーズドリームを夢見て腕のある若者は日本に来ることが多いようです。その土壌は昭和の名横綱大鵬にまでさかのぼります。

昭和30年代から40年代にかけて「巨人、大鵬、卵焼き」と世間に言わしめた大鵬はウクライナ人(モンゴル人ではありません)の父と日本人の母の間に生まれたハーフなのです。純粋な日本人ではない大鵬がその後の外国人力士の成長の基盤を作ったといって過言ではありません。

モンゴルの若者は大鵬にあこがれて日本にやってくるのです。東の綱「朝青龍」そして西の横綱「白鵬」ともにモンゴル出身力士です。とくに白鵬の鵬は大鵬にあやかってつけたものとされています。大鵬は既に相撲協会を定年退職し大相撲博物館長を務めているとか。そして今なお若い外国人力士にアドバイスをしていると聞きます。

この大鵬も人格者でありながら引退後、要職についていないところを見ると、外国人に対する偏見が今なお根強く相撲協会の中に残っていると思わせるのです。そして今回の事件。朝青龍の行動は軽率といえるかもしれませんが、その背後に外国人力士への偏見は無かったでしょうか?

モンゴルは面積は広いもののまだまだ発展途上国です。妙な軋轢から国交につまらない障害が生じないことを切に望みます。

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