[1112]特殊捜査班(SIT)と特殊急襲部隊(SAT)

テロや凶悪事件の際に出動するのが特殊捜査班(SIT)と特殊急襲部隊(SAT)です。特殊急襲部隊については以前に述べましたが、急襲部隊とありますように、事件の解決を第一の目的としています。これ以上長引くと人命にかかわるような場合に、早期解決を目的とします。したがって、犯人狙撃なども視野に入れています。

それに対して特殊捜査班(SIT)という部隊があります。SITは捜査班とありますように、犯人逮捕を目的としています。SATがテロ対策用として敵を制圧するのに対し、SITはあくまでも犯人逮捕が信条です。

SATは警察の警備課、SITは刑事課の組織で、共に警察の特殊部隊ですが、SATは県警にすべて完備されているわけではなく、状況に応じてSITが借り出されることになります。

SITは人質立て篭もり事件や、誘拐事件、企業恐喝事件、業務上過失事件などに出動し、特に人質立て篭もり事件が発生した際などはSATばりの重装備で出動し、犯人が説得に応じない場合は強行突入を行うこともあります。

SATは1977年の日本赤軍によるダッカハイジャック事件が契機となって警察のハイジャック対策用特殊部隊として創設されたのが前身です。平成8年5月に「特殊急襲部隊」という正式な名前が付きました。

SIT(特殊捜査班)は1963年に東京都台東区で起きた「吉展ちゃん誘拐事件」で身代金を奪われて犯人を取り逃がし、吉展ちゃんを助けられなかった失敗を教訓に設立されたのが始まりです。SITもSATも共に事件を解決できなかったことへの反省をこめて設立されています。

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