[1113]イスラム金融

最近ニュースなどでよく聞くようになったイスラム金融。この仕組みを取り入れたイスラム銀行も欧米圏でできているようです。

シンガポール開発銀行(DBS)は31日までに、シンガポール初のイスラム金融銀行を近く設立することを明らかにした。イスラム金融で先行する隣国マレーシアとの間で中東マネー争奪戦が激しくなりそうだ。(2007/3/31共同)

私たちが普通に接している金融システムは欧米型といわれます。緩やかな成長を前提とした欧米型の金融システムは、お金を借りているだけで利息を支払わなければならない、裏を返せば、お金を預けるだけで利子を生む、という特徴に象徴されるシステムです。

イスラム金融はイスラム教義に基づいた金融システムで、欧米型の金融システムと大きく異なります。具体的には「リバーの禁止」「利益分配制度」「退蔵の禁止」「喜捨」の4つが大きな特徴です。

◇リバーの禁止

リバーとは貸付に対する利子をいいます。つまり利子を禁止しているのです。
利子は預けておくだけで増殖するため、労働を伴わない不労所得とされイスラム教義に反するとしてこれを禁止しています。

◇利益分配制度

これは欧米型でも見られる「投資と配当」の考えです。資金を持っている人が事業者に対して投資をし、それを元手に事業者が事業を行った成果としてでた利益を配分するのはよいとされています。

◇退蔵の禁止

退蔵とは、事業として投資を受けたにもかかわらず、それを使わずに保管しておくことをいい、イスラム金融ではこれを禁止しています。資金は生産への用途に使われるべきであり、その方向に進む事業努力しなければならないという考えに基づいています。

◇喜捨

喜捨とは税金のことです。年収と金融資産に課せられるもので、何もしなくても一律で課せられます。事業者が資金を動かして利益を出していかないと喜捨によって目減りします。したがって事業者は生産活動をせざるを得ません。退蔵をしないようにすするための仕組みであるともいえます。

イスラム金融の仕組みを取り入れたイスラム銀行は世界中に増えていますが、欧米型の有利子銀行との競争もあり、非イスラム圏ではなかなか伸び悩んでいるようです。

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