[1114]マスタードガス

マスタードガスとはなんとなくおいしいそうな名前ですが、これは毒ガスです。硫化ジクロロジエチルという化学物質を主成分とする化学兵器。被曝すると皮膚が徐々にただれてくるというやっかいなもの。吸い込むと気管や肺がただれます。また目や耳に入ると内部がただれます。毒ガスは兵器なので治療を前提として作られていません。したがって特効薬はありません。

このマスタードガスを旧日本軍は国際法に違反していることを知りながら広島などで製造していました。製造したガスは、旧満州(今の中国の遼寧省、吉林省、黒竜江省あたり)などに運ばれましたが、敗戦と共に廃棄、証拠隠滅のため地中に埋めて、そ知らぬ顔して帰還したのです。

そして今、旧日本軍が埋めた毒ガスが道路工事などで出てきてしまい、今になって被曝者が続出、問題になっているのです。日本政府はこの事実を認め、旧日本軍が埋めたとされる毒ガスを探し、それを処理する作業にかかっていますが、何しろ秘密裏で行なわれた毒ガス政策ですから、遅々として進まないのが現状でしょう。

さて、このマスタードガスですが、その匂いがマスタードに似ていることから付けられています。毒ガスといっても常温では液体なので、もし地下を掘る工事をしていて、怪しいドラム缶や容器、そしてマスタードのような刺激臭があったら要注意。すぐにその場から離れ、警察、行政に通報しましょう。

日本各地でも旧日本軍が作ったとされるマスタードガスが各地で廃棄され、その処理に追われているのが現状です。毒ガスが遺棄されている場所の特定について、環境省は41都道府県に138ヶ所との情報があったと全国調査結果を発表しています。むつ湾、周防灘に廃棄された毒ガス弾、寒川町、平塚市及び神栖町で相次いで発生しています。あなたのすぐそばにも、もしかしたら毒ガスが埋まっているかもしれません。

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