[1119]書類送検

ニュースでよく聞く「書類送検」。事件の重大性・犯罪性が軽いときに使うことが多いというのはなんとなくわかります。「書類送検」とはその字の通り「書類」のみを「検察に送る」場合に使用します。

刑事事件の流れでは、警察で司法警察官が被疑者を調査し、事件として立件する確証が取れた場合に、その事件を検察官に送致し、これを「送検」といいます。送検は、書類だけでなく、逮捕された被疑者の身柄、書類、証拠物など一切を検察官に送る手続を指します。

しかし事件の内容が軽微で、被疑者の逃亡も想定され無い場合は、被疑者を拘束しないまま、書類のみが送致されるため「書類送検」という用語が使用されるのです。ただし、この「書類送検」という語句はマスコミが使うもので、訴訟法での正式名称ではありません。

送検は警察で捜査が行なわれた場合は必ずしなければならないとされています。
(刑事訴訟法246条)。その上で、事件の内容を検察が吟味し、裁判所に起訴するかどうかを決めます。被疑者を逮捕した場合は更に厳しく、24時間以内に送検しなければなりません。このあたりの時間のなさが、冤罪を生む土壌になっているかもしれません。

最近の「送検」事件(その一)

1円でも盗みは盗み、コンビニで携帯に無断充電の少年送検
9月19日14時3分配信 読売新聞

大阪府松原市のコンビニエンスストアの外壁にあるコンセントを無断使用し、携帯電話を充電したとして、大阪府警松原署が中学生の少年(15)ら2人を窃盗容疑で書類送検していたことが、19日わかった。充電時間は約15分で、電気代の被害額は1円だが、同署は「金額はわずかでも、犯罪であることに変わりはない。見て見ぬ振りをせず、法律に従って手続きをした」としている。

最近の「送検」事件(その二)

クジラ救出中の転落死事故 海保が元漁協幹部を書類送検
2007年10月04日12時51分アサヒ

愛媛県宇和島市の大内漁港で3月、迷い込んだマッコウクジラの救出をしていたボートが転覆し、男性1人が死亡した事故で、宇和島海上保安部が、救出作業の現場責任者だった元漁協幹部(51)を業務上過失致死容疑で松山地検宇和島支部に書類送検したことが4日わかった。漁協関係者は「県や市の要請で作業に協力したのに処分は厳しすぎる」と反発している。
~中略~
地元の宇和島地区漁協協議会は、処分の減免を求める陳情書と約3500人分の署名を同保安部に提出していた。

いずれも、事件にしなくてもいいようなことが事件になっている点で、最近の世相をよく反映していると思います。

【関連記事】
[493]検察官
[845]別件逮捕