[1144]議員立法とは?

薬害肝炎の患者を救済するための法案を議員立法で作るというニュースがありました。

薬害肝炎議員立法、1月7日に国会提出へ 国の責任と謝罪を明記。

自民党の大島理森、公明党の漆原良夫の両国会対策委員長は25日午前、国会内で会談し、薬害C型肝炎の被害者全員を一律救済するための議員立法について、国の謝罪と責任を何らかの形で明記し、法案を来年1月7日に国会提出して今国会で成立を図る方針を決めた。(2007.12.25 朝日)

この議員立法とは何でしょうか?普通の法律とは違うのでしょうか?

法律というのは、各省庁の官僚がその骨子を作ります。それを内閣が目を通し、細部を調整して、国会に提出します。国会での議論を経て、衆議院、参議院で可決すれば、法案は成立、施行を待つのみとなります。

つまり、法律は各省庁の官僚という役人が作るのが一般的なのです。しかし内容によっては役人が作りにくい法律というのもあります。今回の薬害肝炎事件は、厚生労働省の落ち度。その落ち度を自ら認める法律は厚生労働省としては作りにくい。そのような場合に、国会議員が一定の賛同者を集めて作る法律が議員立法です。

国会に法案を提出することができるのは、議員と内閣に限られています。通常は内閣から提出されますが、議員からの法案の提出によって行われる立法のことを通常の法案と区別して「議員立法」と呼びます。

議員立法のいいところは国民の選挙で選ばれた議員が作るため、国民のニーズや価値観・世情に合っているということ。また、議員が作るため迅速であるということもメリットです。

欠点もあります。官僚が作る法案は吟味されたものであることが多いですが、議員立法はご都合主義でその場しのぎになりやすいということです。官僚は頭が良いです。議員さんの場合は頭は???な場合もあります。今回の薬害肝炎救済の議員立法。その場しのぎなものとならないようお願いしたものです。

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