[1165]官僚社会とは?

官僚とはお役人のこと。それも役人のなかでも階級が上の人をいうようです。年金問題でゆれる厚生労働省に勤める人たちは官僚です。この人たちが厚生労働省を動かしているわけです。官僚は公務員でもあります。

時の厚生労働大臣は桝添要一氏。この人は自民党ですが、厚生労働省は自民党ではありません。社会保険庁の腐敗を自民党のせいにする風潮ですが、社会保険庁と自民党は別物です。

ただし、日本の政権は長期間自民党が政権を担当していました。政権は、各省庁をコントロールし機能させなければなりません。そういう意味では各省庁は自民党色であるということはできます。

各省庁、言い換えれば官僚社会というのは巨大な化け物です。この化け物をうまく操るには、それ相当のリーダーシップ力を要します。それがすなわち政権担当能力ということです。小沢さんが言っていたように、今の民主党には政権担当能力が無いといいます。それはただ単に、政権をとることを言っているのではなく、各省庁をコントロールできるか、ということに他ならないのです。

各省庁の官僚は自分の居場所を作ってきました。居心地のいいようにです。それが天下りであり、恩給であり、巨額な退職金制度です。民間人からすれば常識はずれな厚待遇ですが、これも一理あります。

先日台湾の故宮博物館を訪れたときのこと。象牙に幾重にも彫り物をした素晴らしい芸術品がありました。どうしてこのようなものが作れるのかというと、親子二代にわたって、この彫刻をすることのみ国は職人に命じたのです。そのかわり、親子二代にわたって本人のみならず一家の面倒はすべて国がみるというのです。

このような手厚い環境があるからこそ生まれることができる芸術品。安心して製作に没頭することができます。能率や利益を重んじる資本主義では到底でき得無い「仕事」がここにあります。

今、官僚を含め公務員からその恩恵を剥ぎ取ったらどうなるでしょうか。誰も公務員にならなくなってしまいます。これでは国の機能がストップしてしまいます。

腐敗した官僚社会は一旦は解体する必要があるかもしれませんが、その後には働きやすい、生活も安定する、そして誇りを持って国の仕事ができるというような、新たな仕組みを作る必要があるのではないでしょうか。

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