[1189]日本のホームページの行き着くところ

以前、中国のホームページは認可制であり、当局の厳しい目が光っていると述べました。これは「要らぬ情報」を国民の目に触れないようにする情報操作=検閲以外の何者でもありません。独裁国家である中国ならやりかねないと誰しも納得されたことでしょう。(ミャンマーも同じ)

しかし、今回同じようなことが日本でも起こりそうな気配です。

18歳未満の子供をインターネットの有害サイトから守る青少年への有害インターネット情報規制法(有害サイト規制法)案が11日午前の参院本会議で賛成多数で可決、成立した。(6月11日11時2分配信 毎日新聞)

何か事件が起こると、それを防ぐために法律ができることは特に異論はありません。実際インターネットの弊害は大きいものとなってきています。が、その内容がいつも泥縄(泥棒を捕らえてから縄を綯う=臭いものにフタ)なのがなんとも情けないと思うのです。

良い例が迷惑メール条例とも言われる「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」です。この法律は平成14年に制定されましたが、全く効果が無いのは毎日大量に届く迷惑メールが物語っています。

これをフィルタする迷惑メールソフトがありますが、これを使うと正しいメールまでフィルタリングされるため使い物になりません。法律は新たに罰則など強化しましたが、罰則を受けるのは企業の不慣れなメルマガ担当者だったりします。

確かに楽天市場などで買い物をした後にくる大量の広告メールは閉口しますが、悪意を感じることはありません。絶対に解除できない迷惑メールを送信してくるを本当の迷惑メール業者はその後ろに隠れており、こんな法律は痛くもかゆくもないのです。

話を有害サイト条例に戻しますと、この条例には反対する識者も多いのです。ネットには善も悪も存在しますが、サイトがある以上、誰にも邪魔されずそこにアクセスできるからインターネットなのです。少しでも制限されれば、それは閉ざされたローカルネットワークであり、もはやインターネットではありません。

そして全世界レベルでつながっているからこそインターネットであり、そこには国境はありません。国境の無いものを、国が規制することなど所詮できることではないのです。

こういった法律を作るのは、本来官僚ですが、今回は官僚製ではなく議員立法とか。官僚の作った法律は根本的な解決にならないことが多く、議員立法はよく議論もせず当座的に作ったアホな法律が多い。いずれにしても、私らネットで仕事をする人間から見れば素人が作った法律といわざるを得ません。

ではどうしたらよいか?

・有害サイトをフィルタリングするのは最終的にユーザーの意志が行なう
・フィルタリングソフトは民間で開発し、競争の原理が働くようにする
・有害サイトを構築させるかどうかは、そのサーバー会社が独自の判断で行なっても良い

ちなみに、よく「プロバイダの責任」を問うことがありますが、ホームページスペースを貸しているのはプロバイダではなく「ホスティング会社」です。プロバイダは接続会社。しかしプロバイダとホスティング会社を監視すれば、日本でのネット規制はできるといえばできます。

しかし、接続回線はプロバイダに契約するとしても、自宅でウェブサーバーを構築すればどんなサイトだってできてしまいますし、海外のウェブサーバーを借りればこれの規制を逃れることができます。

要は罰則で規制するのではなく、「できないようにする仕組みづくり」が大切なのですが、日本の法律はどうもその辺がよくわかっていないようです。

インターネットの危険から子どもを守る

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