[1202]仙人と仙女

2013年5月18日

仙人(せんにん)というと山に住み、仙術を使う白ヒゲの老人というイメージです。一方で仙女(せんにょ)というと、これが若くて美しい天界の美女、というイメージがあります。

この仙人、仙女とは中国三大宗教のうちの道教でいう「不老不死を得た人」のことをいいます。桃源郷という言葉も道教から来ており、仙人仙女が住む理想郷を桃源郷といったのです。道教は仙人になることを目的としており、その修業をする人を道士といいます。

道士姿は日本では1980年代に「霊幻道士」、「幽幻道士」などのキョンシー映画で一躍有名になりましたが、この道士は道教の修行僧のことだったのですね。ちなみに「キョンシー」は「腐乱することのない死体」の意味であり「道士」という意味ではありません。

「仙人は霞を食う」とよくいわれますが、これは仙人修業のうちの一つに霊地・霊木などの尊大な気を体内に取り入れる修行があり、これを俗に「霞を食って生きている」といわれるゆえんとなっています。

また、仙人の修業に煉丹術がありますが、これは不老不死の薬を得る中国の錬金術ともいわれていますが、実際は水銀を扱うものなので不老不死どころか中毒による死亡事故も多く、現在では禁止されている修業でもあります。

そのほか仙人が行なう修業・仙術には男女の気を巡らす「房中術」、「導引術(気功法)」、息を長く止める「調息」、無呼吸にも似た「胎息」、五穀を断つ「辟穀」などがあります。これらを経て晴れて仙人・仙女となるわけです。

ちなみに、仙女として名高いのは西王母(せいおうぼ、仙女の長)、麻姑仙女(まこせんにょ)など。この麻姑仙女は美しくまた爪が長かったので「背中を掻いてもらったらさぞ気持ちいいだろう」ということから付けられたのが「マゴノテ」。マゴノテのマゴは「孫」ではなく「麻姑仙女」から来ていたのですね。