[1209]地雷

軍人将棋というゲームがあるのをご存知でしょうか。中高年の人はこれで遊んだ方も多いことでしょう。その中の駒に「地雷」というのがあります。「地雷」は強く、ほとんどの駒に勝つことができますが、動くことができません。そして「工兵」という駒と「ヒコーキ」には勝てません。「工兵」は「地雷」を無能化し、「ヒコーキ」は地面を通らないので効かないのです。

この地雷が今なお、住民を苦しめているのです。カンボジアに行くと足のない人がいっぱいいます。大人に混ざって子供もいます。アンコールワット世界遺産の観光地として有名なカンボジアですが、安全なのは観光地として整備されているところだけです。現地に行くとまずガイドさんに指定した場所以外はやたら歩かないように注意されます。今なお、たくさんの地雷が埋まっているからです。

第二次世界大戦あたりまでは、地雷というと対戦車用が多かったのですが、現代において問題になっている地雷は、対人用の地雷です。この対人用の地雷は人を殺すことを目的としていません。体の一部を吹き飛ばすために埋められた地雷なのです。なぜ殺さないのか?

対人用の地雷は内戦によく使われますが、敵の行軍を邪魔するために使われるのです。行軍の性格として、交戦で味方が死亡した場合はその場に置いていきます。しかし、地雷で足を吹き飛ばされても命がある場合は、置いて行くことはできません。キャンプへ連れて帰るか、あるいは抱えて進軍するしかありません。つまり敵に「お荷物」を作らせるために地雷を使うのです。

足を吹き飛ばすだけなので爆発力はそれほど要りません。価格も3ドルほどで作れるといいます。これを飛行機でバラバラと撒きます。撒かれた地雷は半永久的に作動します。防水しようですから泥水に埋まっても作動するのです。

カンボジアのように大規模な雨季があるところでは、撒かれた地雷が雨水に浸り埋められた形跡を跡形もなく消し去ります。乾季にはそのあたりで子供たちが遊ぶわけです。結果は想像するとおり。

この非人道的な地雷を撲滅しようといろいろな団体が活動しています。世界の子供たちを助けるため、ここはひとつ注目してみてはいかがでしょう。地雷の除去に必要な費用は、1平方メートルあたり、約100円だとのこと。
ピースボート地雷廃絶キャンペーン

ちなみに、地雷で悩む国はカンボジアだけではありません。内戦が続くアフガニスタンやアフリカでも地雷で悩む多くの人がいます。こんなに多いのか、と愕然とするばかりです。

[主な地雷埋設国]

アンゴラ(アフリカ) 約1,500万個
アフガニスタン(中東) 約1,000万個
イラク(中東) 約1,000万個
カンボジア(東南アジア) 約400万~600万個
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ(欧州) 約300万~600万個
ベトナム(東南アジア) 約350万個
クロアチア(欧州) 約300万個
モザンビーク(アフリカ)約300万個
エリトリア(アフリカ) 約100万個
スーダン(アフリカ) 約100万個
ソマリア(アフリカ) 約100万個
エチオピア(アフリカ) 約50万個


大型行軍将棋

【関連記事】
アンコールワット世界遺産[42]地雷の傷跡
こういう仕草は女らしい-磯部らん-[57]生きがいについて
求人ニュースで日本がわかる!~12月1日あれこれ~