[1238]低温の限界「絶対零度」と超流動

2013年5月17日

今日は温度の話です。

温度は、物質の原子が振動して発するエネルギーが原因となっています。大きく激しく振動する物質は発するエネルギーも大きく温度が高い。逆に小さくゆっくり振動する物質は温度が低い。

エネルギーを発し続けると、その物質はだんだん冷えて、しまいには絶対零度になります。絶対零度は、原子の振動が止まってしまい、エネルギーを発しなくなった状態です。したがってこれ以下の温度はありません。すべての物質が停止する温度、それが絶対零度です。

絶対零度は物理学では0K(ゼロケルビン)と表します。ケルビンは普通の人には馴染みが無いので摂氏で表しますと-273.15℃となります。

絶対零度においてはすべての物質の原子が完全に停止し、そのときには固体化するというのが定説でしたが、最近ではそうではないことがわかってきました。

現在の量子力学では絶対零度においても、原子の振動が止まることはなく、エネルギーが最低の状態でも振動しているとされます。ということは液体のままでいることが可能であることになります。

たとえば風船によく使うヘリウムの仲間の「ヘリウム4」という物質の場合、常温では気体ですが、低温において液化しても絶対零度に到るまで液体のままで存在します。そして更に面白いことに、2.17Kの状態で「超流動」という特殊な状態になります。

この超流動という状態は、液体が容器の壁を伝って向こう側に渡り、同じ水面を保とうとする力があるのです。なので流動を超え「超流動」。まるでSF映画に出てくる液体金属ロボットのようなものです。

ちなみに人類が達成できた最低温度は液体ヘリウム 2×10-5 K(2かける10のマイナス5乗=0.00002K(1950年)。真の絶対零度には未だ到達していません。

今日は低温には限界があるという話でしたが、次回は超高温についてお話いたします。