[882]石綿の誤解

石綿は強度を備えた微細な繊維構造を持っています。その重さに比べて非常に大きな表面積を持つという特性を活かし、石綿スレート、石綿けい酸カルシウム板、ビニールタイル等の建築資材の繊維素材として使用されてきました。しかし、その特徴がそのまま、軽い、飛散しやすい、吸引し易い、体内で分解されない、排出もされにくい、などの弊害を生むことになるのです。

通常私達の体内に異物が入り込みますと、それを感知した細胞(マクロファージ)がその異物を飲み込み、その細胞も死ぬことによって痰として排出されます。ところが石綿の繊維は大変細かいため肺に刺さり、大量に吸引、あるいは持続して吸引すると体内に残ってしまうのです。体内に入った石綿が40年かけて肺の細胞を刺激し、ガンを発生させるというわけです。

建材の表記を仔細に見てみますと、ゼロアスベストあるいはノンアスベストというようなものがあります。

ゼロアスベストとはアスベストを一切使っていない製品をいいます。いわば「無石綿」です。一方でノンアスベストという表記もあります。ノンアスベストは石綿含有率1%までを言うようです。しかし、これらの製品を調査したところ、無石綿と表記されているにもかかわらず、大量の石綿が成分として発見された例もありますので、あまり信用はできません。「石綿を使わない姿勢」のメーカーの製品を選んで使うようにしなければなりませんね。

建材用の繊維といえば、石綿に似たものでグラスウール、ロックウールというものがあります、グラスウールがガラス繊維でできた製品です。ロックウールは工場で製造された人造の鉱物繊維。石綿が天然に産する鉱物繊維なのに対し人工的に作られた石製の繊維がロックウールです。

特にロックウールはその言葉の響きから石綿に似ているため、有害なのではと思ってしまいますが、同じ繊維でも石綿に比べ100倍も太い繊維なので人体に対する有害性は認められていません。ロックウールはグラスウールともども石綿に代わって活躍している素材なのです。