[888]セルロイド(Celluloid)

ニューシネマパラダイスという有名な映画がありましたね。映画をテーマにした長い映画でしたが途中映画館が燃えてしまうシーンがありました。そうなんです。昔は映画館はよく火災を起こしたのです。

その理由は、フィルムです。フィルムは燃えやすいセルロイドでできており、それを高熱のランプで投影します。フィルムがコマ送りで動いていれば燃えませんが、何らかの故障でコマ送りが止まってしまうと、そこ熱がたまり発火してしまいます。映写室には色々なフィルムが山済み状態ですからあっという間に火の手は回り、映画館は全焼してしまうのです。

同様に昔はパチンコ屋もよく燃えました。パチンコ台には玉がよくすべるよう盤面にセルロイド板が使われていたからです。またみなさんよくご存知のキューピーさん。この人形も最初はセルロイドでできていました。また昭和世代には懐かしいレコードのソノシート。これもセルロイド製です。当時日本はセルロイド生産王国だったのです。

セルロイドとは紙や木を原料としたニトロセルロースに樟脳(しょうのう)を混ぜたものです。天然樹脂を固めた物なので、プラスチックと違って微生物で分解し土に還る特性があります。古い素材ですが今まさに求められている素材です。

弱点は燃えやすいという点。特に戦後の1954年にアメリカが、セルロイドは発火しやすく危険との理由で輸入を禁止したため、セルロイド製おもちゃ大国であった日本はその素材をビニールやプラスチックへと変えていったのです。

かくして、一世を風靡したセルロイドは一部を残し姿を消すことになるのです。

つづく