[906]環境ホルモン

2018年10月13日

体の中にあるホルモンは体の成長や代謝を促す命令をするような物質です。簡単な例では女性ホルモンは女性になるために必要なホルモン。男性ホルモンは男性になるためのホルモンです。先天的に形成された生体に、後天的に作用するホルモンは、生物の多様性や進化を受け持っている大事な物質であるわけです。

環境ホルモンとは、もともと体の中にあるホルモンではなく、外部から侵入してきてあたかも元々あったかのような顔をして振舞う物質のこと。内分泌かく乱物質ともいいます。中でもダイオキシンは有名。これは男性を女性化するホルモンです。精子減少などの男性機能を低下させますので、人類にとって危うい物質といえます。

現在、内分泌かく乱化学物質としては約70種類に及ぶ物質が疑われています。ポリ塩化ビフェニール(PCB)や殺虫剤のDDT、ダイオキシン類のほか、洗剤に含まれる界面活性剤の成分であるノニルフェノール、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂の原料であるビスフェノールA、塩化ビニル樹脂の可塑剤に用いられているフタル酸エステルといった、現在広く使われているものも含まれています。

環境ホルモンの怖いところは、中毒作用や発病といった比較的分かりやすいものだけではなく、外見上は異常がないものや、将来において変化が訪れるかもしれないと疑われているものも多くあることです。つまり現時点では分からないものも多いのです。

今まで見逃されていた可能性のある環境ホルモンを探索するために、実験動物等による研究や人体を含めた野生動物の観察が欠かせません。そしてそれらの研究調査の成果を積み重ね、更に環境ホルモンを特定していく必要があるのです。

ところで、焼肉好きですか?焼肉屋に行きますとメニューに「ホルモン」ってありますでしょ?あれは内臓のこと。牛をばらす時、内臓は食べない部分として特定の入れ物に「放って入れる」すなわち「ほおるもん」がホルモンになったってわけです。要するに元々は捨てるべきゴミだったんですね。でも美味しいんですねこれが。