[915]重金属の毒性とは?

2013年9月22日

人間の体はたんぱく質でできていますが、そのたんぱく質を作るのが酵素。酵素の中にはDNAがあって、DNAにはどのようなたんぱく質をつくるか?の設計図が仕組まれています。酵素はその設計図を元にたんぱく質を作るわけです。

酵素の構造の中心には、金属が含まれるものがあります。例えば血液には鉄を含む酵素ヘモグロビンがあります。鉄以外にも亜鉛、マンガン、銅の入った酵素も体内にあってそれぞれが独自の働きをしています。この核となる金属に結合しやすい物質が入ってくると、その金属に結合して違う物質になったり置き換わったりするため本来の酵素の役割をしなくなり、結果として「毒」となるわけです。

脳に障害を起こす一酸化炭素中毒は、血液中のヘモグロビンの中にある鉄と一酸化炭素が結合するため本来の酸素が脳に運べなくなります。そのため酸欠状態になってしまい中毒を起こします。二酸化炭素は鉄と結合しないため毒にはなりません。カドミウムは酵素の中の亜鉛と置き換わってしまうため毒となります。

一般に鉛、カドミウム、水銀のような重金属は毒といわれますが、これは体内の硫黄を組成とするたんぱく質と結合しやすいので有害なのです。最近流行の「デトックス」とは解毒を意味しますが、これは水銀、鉛、カドミウムなどの重金属やヒ素等を吸着させて排出するというのがウリのようですね。

なお、重金属=毒、と言うことではありません。金、プラチナなども重金属ですが、これは人体には無害です。もっとも人体ではなく人間の心には毒となる場合もあるようですが。

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