[508]民事再生法

大手スーパーのマイカルの経営が破綻し、民事再生法の適用を受けました。大きいところでは「そごう」に次いでの適用です。

日本では会社が倒産すると酷いことになります。社長=大株主であることが多く、せっかく有限責任の株式会社という制度でありながら、私財まで投げ出し挙句に自殺事件が起こったりします。

そしてその会社が黒字倒産であってもまず再起は不能。これは失敗を許さない日本の国民性ともいえるものですが、社会全体にとってもれば大きな損失であるといえるのです。アメリカなどではむしろ更正に力を入れている点が大きく異なります。

倒産した会社をどうするかは「倒産五法」によって処理します。倒産後消滅する方向で進めるのは「破産」と「特別清算」。再建する方向で進めるのは「会社更生法」「和議法」「商法による整理」です。しかし、実際にこれら法的手続きのうち再建型を採用するのはわずか10%足らず。90%以上は消滅型なのです。

そこで新しく民事事再生法が2000年4月登場しました。「消滅」ではなく迅速な「再建」を強く意識した法律です。

【特長】
◎支払い不能などの破たんに追い込まれる前に申請ができる
◎経営者が業務を続けながら再建計画を立てられる
◎裁判所の認可に要する期間が半年と会社更生法に比べてはるかに早い
◎債権者の同意も他の法律が2/3以上なのに対し1/2以上と少なくて済む
◎債務免除も九割程度と会社更生法並みに高い

大企業では、これまで会社更生法という伝家の宝刀がありましたが「そごう」事件以来民事再生法に流れが変わりました。

しかし、欠点もあります。早期に適用が認められる分、努力不足にもかかわらず、安易に駆け込みやすいという点です。

なお2000年4月1日の当法施行と同時に「和議法」は廃止、「商法に基づく会社整理」は空文化となりました。

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