[486]ガラス風鈴

夏の風物詩といえば風鈴。涼しげなその音色は私達の心を和ませてくれます。

風鈴といえば、ガラスでできた江戸風鈴が有名です。江戸時代に作られたところから江戸風鈴といいますが、これは昭和39年に篠原風鈴本舗がつけたブランド名。したがって江戸時代当時としてはガラス風鈴、ビードロ風鈴と呼ばれていたようです。

風鈴の歴史は古く中国まで遡ります。当初は占風鐸(せんふうたく)と言い、竹林に下げて風の向き、音の鳴り方で、物事の吉凶を占う道具として使われていました。

日本に仏教とともに渡来し、お寺の四隅にかけて厄除けに使っていた風鐸が風鈴に変わっていったとされます。夏の涼を求めるものではなく、厄除けとしての道具だったわけです。

1700年ごろになると、長崎のガラス職人が風鈴が作り始め、見せ物として大阪、京都、江戸にて興行しながら売り伝えました。といっても、当時はガラスは高級品で、今のお金に換算すると200万~300万円ぐらいしたとされています。安くなって庶民にも手が届くようになったのは明治時代になってから。

ガラス風鈴は職人が真っ赤に熱されたガラスを口で吹いて膨らませる伝統工芸です。したがって、出来上がった風鈴は良くみると一つ一つ違います。絵付けも独特で江戸のよき時代を彷彿とさせます。

ガラス風鈴の選び方ですが、振ってみて音の良いものを選びましょう。鳴り口の部分は割れたようにギザギザですがこれが正解。この加減が涼しげな音を生むポイントです。ここをコップのように滑らかにしてしまうと、滑ってしまい良い音がしないのです。

【関連記事】
[572]ガラスは液体