[457]北極の織女星

7月に入るとすぐに七夕というロマンチックなイベントがあるにもかかわらず、どうもイマイチ盛り上がらないのは梅雨のせいだ!

というわけで、ここで私は小泉さんに一つ提案したいと思います。7月7日の七夕はどうも天気のよくない梅雨時なので、これを旧暦の8月にしたらどうか、というものです。

もともと、七夕行事は陰暦で行なわれていましたが、旧暦の7月7日は新暦では8月後半になります。例えば今年は8月25日が旧暦の七夕にあたります。

7月の7日では、牽牛織女とも、まだ東の空低く、深夜にならないと天上に来ません。また、関東地方では梅雨の真っ盛りです。夜空を眺めるどころではありません。8月になれば、天気も安定し涼しげな七夕飾りとともに夜空を眺める楽しいイベントになると思うのですが。

さて、銀河をはさんで輝くこと座のベガ(織姫星)とわし座のアルタイル(ひこ星)は夏の夜空の風物詩です。東の空から最初に登ってくるのがベガ。そのあと天の川をはさんで現れるのがアルタイルです。共に明るい星ですからすぐに確認できます。都心では天の川はなかなか確認できませんが、双眼鏡をお持ちならベガとアルタイルの間を探索してみてください。細かい星が川のようになったミルキーウェイを確認できることでしょう。

織姫星ことベガは0.0等級の明るい星です。全天ではシリウス、カノープス、アルファ・ケンタウリに次ぐ4番目に明るい星ですが、カノープスとアルファケンタウリは南の低く確認が難しいので、事実上シリウスに次いで明るい星となっています。

ところで、このベガですが、今は東の空から上ってきて西の空に消える軌道にいますが、約1万2千年後には北極星になることがわかっています。

というのは、地球の地軸は天球に向かって斜めであり、天球に対して地軸自体が回転運動をしています。そのため、天球は長い年月には移動し、今の北極星があるところに、ベガが移動してくるということなんです。

現北極星は2等星で肉眼ではちょっと探してしまいますが、0等星のベガが北極星になれば簡単に確認できることになります。

ベガとアルタイル、銀河と地球の位置関係は1万2千年くらいではそう変わりませんから、ベガと一緒に銀河もアルタイルもついてくる筈です。ということは、ベガを中心に銀河とアルタイルが北天を飾る。これは結構いいかも。だいぶ先の話なので、残念ながら私は見ることはできませんけどね。

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