[432]フッ素

2013年5月11日

キシリトールが歯垢を分解し虫歯や歯周病を予防するのに対し、フッ素は歯そのものに作用して丈夫にする働きがあります。

歯の表面のエナメル質を構成するのはハイドロキシアパタイトという結晶物質。その結晶の中の水酸イオンに代わってフッ素が入るため結晶が安定し、虫歯の原因である酸に対して溶けにくくなります。

また一度溶けてしまったエナメル質が再び結晶化するよう促進する働きがあります。つまり修復効果があります。更に歯垢の中にフッ素が停滞し、虫歯菌の活性を阻害して酸を作らせないような働きもあります。フッ素は歯質が未熟な子供に対して効果が絶大だとされます。もちろん大人にも効きます。

フッ素は自然界にも存在する物質で、わかめ、海苔、小魚、お茶などの食品にも多く含まれています。虫歯予防効果が高いので、歯科医でフッ素液を直接塗ったりスプレーする方法がとられています。また市販されているフッ素入り歯みがき粉やフッ素入りうがい薬の使用なども効果があります。

ただしフッ素は多量にとりすぎると危険な物質です。成人の場合でも約250mgで吐き気、腹痛、下痢、けいれんなどがおこり、その20倍のフッ素は致死量になるとされます。しかし、それだけの量を通常は摂取不可能なので現実的には心配ありません。

発がん性物質であるとの意見もあるようですが、それも大量にとればの話で、本当のところはわかっていません。アメリカでは水道水にフッ素を混ぜていますが、有害物質になりうるだけに、まだまだ研究の余地がありそうです。

ちなみに水道水フッ素化は1945年にアメリカで始まっており、その効果と安全を確認したWHOは1969年から加盟国に実施を呼びかけています。現在ではアメリカを筆頭に36カ国3億2千万人がフッ素入り水道水を飲んでいるとされています。

日本で水道水フッ素化が遅れたのは、歯科医師会が治療に重きを置き、予防に無頓着だったこともあげられますが、もともと良い水に恵まれている日本で、訳のわからん物質をなにも最初から水に混ぜることはないという国民性もあると思います。

ウイスキーの宣伝でしたか、何もたさない、何も引かない、というのがありましたがまさにこれこそ日本人の魂(死語)といえるような気がします。