[380]野草パルプ

パルプといえば紙の原料ですが、最近ではパルプの製造のために森林が乱伐され環境問題にまで発展しています。そして、その森林パルプの代わりにケナフという麻の一種の草が注目を浴びていますが、このケナフにしても日本古来の植物ではないので、帰化によって生態系が破壊されるのではないかという懸念より反対する運動も起こっています。帰化植物のセイタカアワダチソウのようにはびこっては大変だというわけです。

しかし、何はともあれ、木材に依存しないパルプの開発は必要です。紙が無いと困りますからね。

ところで、都会の雑踏にも負けず、冬の寒さにも負けず、雑草というのはどこでも生えているものです。その雑草を使って紙を作ってみてはいかがでしょうか?真っ白な紙はちょっと無理ですが、季節のご挨拶に使うようなハガキなら自分で作れそうですよ。

雑草なら何でも作れますが、適不適があるようで、紙作りに向くのはススキやネコジャラシ、トウモロコシなどの葉の長いものが良くできます。反対にできにくいのは葉が小さいもの。

集めた雑草を細かく刻んでミキサーにかけ、弱火で約2時間水で煮ます。さらにカセイソーダと粉せっけんを加えて1~2時間ほど煮込んだ後、水洗いをし、固く絞ると雑草が原料の粗パルプができあがります。このまま乾燥させておけば保存もききます。

このパルプに水で溶いたノリを加え、強度を上げるために水で溶いたティッシュペーパーを加え、ミキサーにかけます。専用の紙すき器具に流し込み、はがき大の紙に仕上げます。出来上がった紙は天日で軽く干し、アイロンをかけて出来上がり。

自然の野草で作った紙は決して白くなく文字を書くには不適ですが、その風合いは手造りならでは。ぜひお試しあれ。

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