[1254]北極振動

寒波が到来し、アメリカや日本でも寒い日が続いていますが、これは北極振動が原因といわれています。

北極振動とは「北極圏」とそれを取り巻く「中緯度帯の気圧場」の振動をいいます。地震のように地面が振動しているのではなく、気圧が高低するので「振動」といっています。

北極が低気圧に覆われると、その影響で周囲が相対的に高気圧になります。そこに気圧差が生じ、空気の流れが起こります。それがジェット気流(偏西風)に影響を与え気象にさまざまな影響を与えるというわけです。

たとえば北極の気圧が平年よりも低い時には、これを「北極振動指数が正」といいますが、この指数が正の時は北極と中緯度の気圧差が大きくなり、その結果「北極」を取り巻く寒帯ジェット気流が強くなります。そのため北極からの寒気の南下が抑えられ中緯度の地域は暖冬になります。

※空気は高気圧から低気圧に移動する性質があるため

逆に北極振動指数が負の時はジェット気流が弱くなるため北極からの寒気の南下し厳寒の冬となります。

異常気象といえば、低緯度(赤道付近)のエルニーニョが有名ですが、高緯度に起こるこの北極振動も気象に大きな影響を与えていることが最近になってわかってきました。特に日本は振動の対象となる中緯度に位置するため、この北極振動の影響を受けやすくなっています。

北極振動が変化する要因の1つとして太陽活動との関連が知られています。地球温暖化というと、二酸化炭素の放出ばかり取り沙汰されますが、こういった太陽活動も含めた大きな力が働いていることを認識すべきでしょう。

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