[724]微生物農薬

通常、昆虫は体内の凍る成分(氷核物質)を冬になると体外に排出します。そして低分子量のアルコールや糖類を蓄積して越冬に備えます。この結果、マイナス20度でも凍らずに生き延びることができます。

一方、植物の葉も越冬に備え、氷核物質を排出し凍らずに越冬することができるのですが、一部の細菌(氷核活性細菌)の作用で凍害を起こすことがあります。この細菌の作用を増強し、この細菌が付着した葉を食べた昆虫が、氷核物質を体内に定着させることにより、越冬できずに凍結して死亡させるのが微生物農薬といわれるものです。

この植物に凍害をもたらす微生物は、自然界では昆虫の体内に定着することはできませんが、バイオテクノロジーで定着性を持たせます。この定着性は氷核活性細菌の遺伝子を形質転換することによって得られます。このようにして作られた細菌をトランスジェニック細菌といいます。

トランスジェニック細菌は、科学合成の殺虫剤を使わずに殺虫できますから、作物につく害虫を人体に影響無く殺虫できるメリットがあります。

しかし、人体に直接影響は無くても、この細菌が自然界に放たれれば、いずれ昆虫は越冬できない生物となってしまいます。そうなれば生態系がおかしくなって、いずれ巡り巡ってヒトにもその影響が現れるでしょう。バイオテクノロジーは目先にとらわれず、長い年月を見越して開発されなければ非常に危険だということが言えます。

ちなみに、氷核活性細菌はマイナス20度でも凍らない「純水」をマイナス2度で凍らせる能力があるとされます。

【関連記事】
[245]バイオテクノロジー
http://www.tamagoya.ne.jp/potechi/2000/20000904.htm

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著者プロフィール

たまごや
1954年1月東京中野区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。現在茨城県にて有限会社たまごや主催。独自の視点によるコンテンツの発信と「感動の園芸・儲かる農業」をテーマとした肥料販売サイト「たまごや商店」を手がける。