[981]着衣泳

今日は海の日。水難事故の多い季節となりました。今日はそんな事故に遭遇しそうになったとき思い出してほしいコラムです。

日本では水泳といえば競泳として教育してきました。しかし水の国オランダでは水泳は「競う」のではなく水難事故を防ぐための自己防衛策として発達してきた部分もあるのです。日本でも古式泳法は鎧を着たまま泳ぐものもあります。

最近日本でも小学校の水泳教育で着衣泳法を取り入れているところが多くなったようです。着衣泳法とは服を着たまま泳ぐことをいいます。もちろん服を着たまま泳いでタイムを競うわけではありません。不用意に水に落ちたときに、自分の命を守るために行う泳法です。

試しに着衣のまま泳いでみるとわかることですが、水の中では衣服が抵抗になり身動きが取れない状態になります。この状態で慌てると体力を消耗します。これが一番怖いこと。着衣泳法は着衣のまま泳力をつけることが目的ではなく、着衣のままいかに体力を消耗せず水難事故に対応する状況判断を養うことが目的なのです。

飛び込み自殺の場面などのシーンを思い出してみると、必ず洋服は着たまま、そして靴や下駄は脱いでいます。これは確実に自殺するためには必要なのです。飛び込んだときにすぐに浮かんできてしまっては死ねません。着衣のまま足から垂直に飛び込むと服の間にある空気が一瞬で抜けるため浮力がなくなります。そして靴を浮力がありますがそれをはいていなければここにも浮力がありません。足から垂直に飛び込むと水の抵抗も無く深く潜り、そして浮力が無いためそのまま浮かんでくることがない、というわけです。

水の事故を防ぐには、この逆をいけばいいことになります。つまり、水に落ちるときに、なるべく横向きになる、そして息を肺いっぱいに吸い込む、落ちてから靴を脱がない、水に落ちても横向きになって浮いていることができれば救助を待つことができます。

水の事故で命を落とす一番の理由は体力の消耗です。水に落ちたら、無駄に泳いで岸に戻ろうとせず、ぷかぷか浮かんでいることが大事。着衣の状態で泳ぐことは至難の業です。むしろ着衣を浮き輪代わりに使って浮かぶことこそ知恵というわけなのです。そして救助を待ちましょう。

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[637]土左衛門

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著者プロフィール

たまごや
1954年1月東京中野区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。現在茨城県にて有限会社たまごや主催。独自の視点によるコンテンツの発信と「感動の園芸・儲かる農業」をテーマとした肥料販売サイト「たまごや商店」を手がける。