[020]労働契約

2012年10月12日

 

求人する事業主がいて、求職する労働者がいて、お互いの合意があってめでたく労働関係が成立します。つまり労働契約が成立したわけです。この場合、書面でなくても口頭でも契約は成立します。
 
さて、仕事を始めてみたはいいが、どうも話が違う。給料が思うようにもらえないので、社長に聞いてみたら、完全出来高制の請負契約だと言う。これは労働者にとって重要な問題です。
 
【労働契約と請負契約】
 
労働契約は、契約の形式にかかわらず、労働者がいてその労働を使用者が指揮監督して提供されている場合をいいます。指揮監督下にないものは労働契約ではなく、民法上の請負契約とされます。
たとえば、仕事を始める時間について、作業場に入る時間に遅れたとします。この場合「遅刻」となるならば、使用者の監督下にいると判断されます。また労務の提供が自由である場合も指揮監督下のもとであるとはいいがたく請負契約とされます。
請負契約であった時は、労働基準法の適用除外になるので注意を要します。
 
【禁止事項】
 
1)賠償予定の禁止
 
普通の契約書には契約不履行の場合の損害賠償額が明記されるのが当たり前ですが労働契約では労働者の負担になるとしてこれを禁止しています。ただし、損害賠償そのものを禁止するのではなく、賠償の予定が禁止されているだけです。したがって何か失敗をすれば損害賠償の責務はあります。(労基法第16条)
 
2)前借り金の相殺禁止
 
労働者に前貸し金がある場合、事業主はその労働者の賃金から貸し金を相殺してはいけないことになっています。(労基法第17条)
 
3)強制的な貯金の禁止
 
強制的な社内預金は禁止されています。社内預金をさせる場合は、所定の手続きを経なければなりません。(労基法第18条)