[044]管理職

2012年10月12日

 

【管理職とは、管理しているようでじつは管理されている悲しい職務従事者のことである】
 
前号で、読者からのお便りに、会社から「管理職」にさせられ、実質減給になったという話がありました。そこで今日は管理職と残業について少し書きたいと思います。
 
【管理監督者には残業は付かない】
 
労働基準法は第41条で、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の事業に従事する者」は労働時間、休憩、休日の規定から除外されています。つまり法定労働時間8時間というのは管理監督者には当てはまらないとされますので、当然残業もつきません。
 
【管理監督者とは?】
 
そこで、じゃあ管理監督者とは何だ?ということになります。管理監督者と言うのは、労働時間、休憩、休日の規定を超える活動を要求される職務についている人をいいます。現場での現場監督、飲食店の店長、営業所長など、通常の勤務規定ではその活動がそぐわない人たちです。だからこそ法では除外しているのです。
 
【管理職=管理監督者ではない】
 
管理監督者と言うのは、会社がそういうポストを用意するのではなく、客観的に決められるものです。したがって、一概に管理職=管理監督者とはならないので注意を要します。逆に管理監督者が管理職ということは有り得ます。
 
【客観的管理監督者の要件】
 
管理監督者と言うのは現場の責任者ですから、残業はつかない代わりにそれに見合う分以上のものを給与としてもらっていなければ、管理監督者とは言えません。また、休日や休憩も忙しい時にはとれませんから、その分も給与に上乗せされて当然です。
 
また管理監督者は経営者の分身ですから、労働者と言うより経営者としての立場にたっているかどうか、自己の勤務について自由裁量の権限があるかどうかなどの実態に則して客観的基準に基づいて判断されるものです。上記のように賃金面でも優待されていなければなりません。つまり、【管理職】の全てを自動的に労働時間等の規定の適用除外とすることはできないわけです。
 
【管理監督者は労働時間無制限か】
 
労働基準法第41条により、管理監督者に対しては時間外労働に対する割増賃金の支払い義務はありません。しかし、深夜業の規定については、適用が除外されていません(昭63.3.14基発第150号)
 
しかし、深夜割増やその他の諸手当が、基本となる給与に含まれることが書面などで明らかな場合は支払う必要はありません。
 
なお、管理監督者であるから労働時間を計算しなくてもいいかというと、そんなことはなく、日々の出勤状態や労働状況を記録する必要はあります。