[053]変形労働時間制

2012年10月12日

 

労働時間は1日8時間、週40時間以下と決められていて、これを超える時間を労働させる場合は、時間外労働となるのが原則です。時間外労働になれば当然時間外手当の問題が生じてきます。
 
業態によっては、上記法定労働時間が業務にそぐわない場合があります。例えば、1ヶ月のうち前半はめちゃくちゃ忙しいが後半はほとんど仕事がないくらい暇だとか、あるいは1年のうち夏は忙しいけど冬は暇だとか。また1週間のうちでも忙しい時と暇な時がある業種もあります。また、24時間をカバーする交替勤務制のところは、1日の勤務時間が8時間を超えることは必要不可欠な場合もあります。そういう時は変形労働時間制を採用する事で法定労働時間を超えて就業させることができます。これは使用者にとって有利な制度ということができます。
 
【1ヶ月単位の変形労働時間制】
 
1ヶ月以内の一定期間(1週でも4週でも構わない)を法定労働時間に収めれば、特定の日が法定労働時間を超えても時間外労働にならないとするもの。
 
《合計で週40時間を超えなければ時間外とならない例》
 
月曜日:休日
火曜日:7時間労働
水曜日:7時間労働
木曜日:7時間労働
金曜日:休日
土曜日:9時間労働
日曜日:9時間労働
(合計週40時間)
 
《平均して週40時間を超えなければ時間外とならない例》
 
第1週目:40時間
第2週目:38時間
第3週目:38時間
第4週目:44時間
(合計160時間、平均すれば週当たり40時間)
 
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定または就業規則等に定めをして、労働基準監督署長に届出をしなければなりません。(労基法第32条の2)
 
【1年単位の変形労働時間制】
 
1ヶ月を超え1年以内の期間を法定労働時間に収めれば、特定の日が法定労働時間を超えても時間外労働にならないとするもの。
 
1年単位の場合には、1ヶ月単位の変形労働時間制より細かく規定されています。
 
・1日の上限は10時間まで
・1週の上限は52時間まで
・1週48時間を超える設定は連続3週以内
・対象期間を起算日から3ヶ月ごとに区切った各期間で、週48時間を超える週は3回以内
 
1年単位の変形労働時間制を採用するに、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合に比べやや厳しく、必ず労使協定を締結して、労働基準監督署長に届出をしなければなりません。
 
【連続労働の限度】
 
連続して労働させることのできる期間は原則6日です。労使協定で特定期間を設け、その期間では週に1回の休日を与える範囲で例外とすることができます。(例えば1週目の初日と翌週の最終日を休日とするなど)