[070]日直

2012年10月14日

 

日直とは、休日に会社内に非常時に備えて待機させることをいいます。日直とは本来「常態としてほとんど労働する必要のない勤務であり、非常事態に備えて待機する状態」でなければなりません。(昭63.3.14基発第150号参照)
 
労働基準法では第4章(適用の除外)の第41条3項で、「この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の1に該当する労働者については適用しない。」【監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの】
 
と定めています。つまり、これが日直にあてはまります。監視または断続的労働は通常の労働でないことを示しており、使用者は労働基準監督署の許可を受けなければならないと規定しています。
 
日直は通常の業務を行なわず、労働の指揮監督を受けないので労働時間とならず、通常の賃金を支払う必要はありません。ですが別に日直手当を支払う必要があります。これが出動や通常の業務を前提としたものであれば、労働時間となり、通常の賃金を支払う必要があります。名称は日直でも通常労働と内容は変わらないからです。
 
例えば、24時間体制でレッカー出動を業務としている場合は、たとえ8時間の中に1回の出動が無くても、その待機時間8時間は手待ち時間として労働時間としなければなりません。
 
営業していない会社の中で、滅多にかかってくることのない電話に対しての単なる電話番は日直として扱うことができます。しかしこれが年中無休の会社でサポートを電話で受けているような場合は、たとえ名称が日直でもその実質は労働時間となり、それに見合った賃金を支払わなければなりません。しかもそれが当人にとって休日であるならば、割増賃金を支払う必要があります。
 
会社の休日に交替で日直をさせ、その為に週労働時間40時間を超えることがあっても、それを労働時間としない場合が見うけられますが、これは日直の本質を理解していないケースです。日直とはあくまでも非常に備えての待機でありますから、通常の業務であってはいけないのです。
 
なお、日直として待機していても、たまたま非常事態のため出動したときは、その実働時間は労働時間となりますので、その労働時間について休日労働の割増賃金を支払わなければならないので注意が必要です。
 
また、会社での待機を「日直」として扱う場合には、労働基準監督署長の許可を受ける必要があり、通常の賃金の3分の1以上の手当の支払いが必要となることを忘れてはなりません。