[077]年休あれこれ(7)休業手当と年休

2012年10月14日

 

【休業手当と年休】
 
使用者の都合で就業日を急遽、休業日とする場合があります。工場やレストランなどでは売上や在庫調整で人件費をコントロールする上でよく見られる手法です。
 
この場合を会社の都合で休業になるわけですから、60%の賃金保障をしなければなりません。(労基法第26条)
 
ところが、その60%の保証より、100%まるまる支払われる年次有給休暇(以下、年休)の方を充てたいと思うのが人情です。ただでさえ何やかやいわれて消化できない年休ですから。
 
ですが、このような休業日については、既に労働義務がなくなる状態が前もって確定しているのであれば、その日について年休を与えなくてもよいとするのが原則なのです。(休業日には年休を充てられないの原則)
 
一方、当日が休業になることを予知しないときに年休を請求してあった場合は、年休として取り扱われます。使用者は休業を理由に年休を取り下げることはできません。
 
ただし、一般論として、使用者が急な休業日であっても、事後に年休との振替えを認める場合は、もちろん年休として扱って差し支えありません。(労働省労働基準局編著「労働基準法」上巻)
 
なお、このように労働者の希望によって年休への振替えを認めた場合、その日は100%の賃金が支払われるわけですが、そうなった場合は、使用者は別に60%の休業手当の支払う必要はありません。2重に取ることはできないと言うことです。