[108]残業あれこれ(7)年俸制の場合の残業

~原則、残業代は別途支給する必要アリ~

普通、賃金は日額計算、あるいは週給、もしくは月額計算されて、それを月1回以上の支払いをもってなされます。年俸制とはその賃金の単位を1年間として計算する制度です。

労働基準法では、年俸制だからといって特別視はしていません。ですから、年俸制であっても時間外の割増賃金の取扱いについても何ら変わるところはありません。賃金は月払いの原則がありますので、毎月の労働時間を計算し、時間外労働が生じたならば、年俸とは別に時間外手当を支給しなければなりません。

ただし年俸制を採用した場合に時間外の割増賃金を年俸に含めることが一切認められないというわけではありません。時間外労働が毎月ほぼ一定している場合には、あらかじめ割増賃金を年俸に固定残業代として含めて支給することは認められます。

しかしこの場合でも、実際の時間外労働に見合う割増賃金の額が、定額で支払う固定残業代上回る場合には、その差額を毎月の給与で清算し、追加して支払わなければなりません。

企業の多くは人件費節約のために年俸制をとっているところが多く、残業代を年俸に含めることができるため、毎月の時間外労働時間を暗に強要する場合も見受けられます。管理職の場合は時間外手当は原則つきませんが、一般職の場合は年俸制を採用しても残業が生じれば時間外手当を払うことになるので、あまり人件費の節約にはならないと知るべきでしょう。