[172]読者Q&A『事後の有休』

■読者からの質問

突然の質問で恐縮ですが、他に聞く方もなくメールしました。病気で3日、休んで出社したところ、社長から「有給扱いにはしない、給料から引くから当然でしょう!」と強く言われました。

理由 1.社長が仕事の事を聞きたかった時、私は休んでいた(最大の理由)
理由 2.他の人より突然の休みが多い。

有給は病気したときに使うように普段休まないようにしていたが間違いなのでしょうか。更年期に差し掛かり自分では自己管理していても限度があり無理して出社してはいますが、突然の休みになります(病気は予告してこないし)

3月16日から翌年の3月15日まで1年(有給日20取得)で8日が突然の休み(病気)多いのでしょうか?
早めに有給表を提出していても理由1で過去にその月の残業代が支払われ無かった事もあります。

ご回答、宜しくお願いします

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

年次有給休暇を病欠に充てた場合の処理についての質問です。

まず大きな勘違いとして、年休は病欠に充てるものではないという事を知ってください。年休は労働の義務が生じている日に対して、その労働を減収無く免除するものです。その日はゆっくり休んでリフレッシュしてくださいというのが趣旨です。病欠に充ててはもったいないのです。

しかし現実には突発的な病気に対して、年休を使いたいというのが実情でしょう。そして多くの会社は、病欠の場合は事後の年休を認めています。しかしそれは会社の好意によるものなのです。本来ならば、事後の年休を認める義務は会社にはありません。時季変更権を行使して、年休は他の日に移動し、病欠した日は欠勤扱いにできるのです。

年休は労働者にもともと存在する強い権利ですから、使用者は年休の請求に対して却下することはできません。しかし、使用者には時季変更権が認められています。年休を行使する場合、使用者は時季変更権を行使するかどうかを事前に吟味する必要があります。

ということは、年休の請求は、事前で無ければならないということです。通常は、前日の夕方までに請求すべきというのが慣習だと思います。従ってこの場合は、年休の事前吟味ができないことを理由に病欠の日を欠勤扱いにすることは違法ではないといわざるを得ません。特に理由1については会社の言い分は正当性があります。

しかし、その場合は時季変更権を行使するわけですから、代わりの日に年休を取らせる義務が生じていますので、代わりの日を指定してもらえばいいと思います。それを拒否したら、今度こそは違法行為となりますので、労働監督署に相談しうる事件となります。

2005/02/14(原文)
2006/06/27(加筆)
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