[176]読者Q&A『連帯保証が就職の条件の場合』

■読者からの質問

連帯保証人をたてないと就職できないというのは、法律に違反しませんか?
誓約書とは別に連帯保証人をたてろというのは、納得がいきません。

■たまごやの回答
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

就職の条件として身元保証(連帯保証)を求められた場合のご質問です。

「身元保証人」とは、従業員が仕事上のミス・不正経理・トラブルなどで会社に対して損害を与えた場合に、従業員本人と一緒に損害賠償の責任を負う人のことをいいます。最近では、身元保証人を要求する会社も少なくなってきましたが、慣行として残されている場合や、多額の金銭・機密情報などを取り扱う会社では「身元保証書」の提出を求めることがあります。

では、この「身元保証書」を提出しなければ入社できないのかということですが、「身元保証書」は、法的に義務付けられたものではありませんので、入社する側としては提出を拒否することもできます。

しかし、企業側にも採用の自由がありますから「身元保証書」の提出を拒んだことを理由として採用を拒否することもできます。労働基準法では特に身元保証についての規定はありません。

判例でも、身元保証書の提出を社員の採用の条件としている会社に採用された従業員が、身元保証書の提出を拒否したことで解雇された例があります。裁判所は、提出の拒否を従業員としての適格性に重大な疑義を抱かせる重大な服務規律違反又は背信行為と判断したのです。(シティズ事件平成11年12月16日東京地判)

身元保証書を提出できない特別な理由がある場合は、法的には義務がないことをやんわり会社に伝えて免除してもらうか、あるいは親戚の方などに身元保証をお願いするしかないでしょう。

なお、身元保証は3年間を過ぎた場合は効力はなくなりますし、自動更新はされませんので、通常の連帯保証人よりも頼み易いとはいえます。この場面を打開するには、まず身元保証についてあなたが他人に説明できるよう詳しくなることが必要でしょう。

2005/03/26(原文)
2006/06/27(加筆)
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